パーキンソン病患者さんのリハビリ相談(過去の実話)
昔、市役所勤務の頃、高齢福祉課の窓口相談の担当をしていたときのことです。
パーキンソン病患者さん(ご主人)とその奥様が一緒に、市役所の窓口に相談に来られました。
市立病院で、リハビリ・ドクターの診察を受けた直後の相談でした。
相談の趣旨は、そのドクターから、パーキンソン病は治らないので仕方がないといった内容の指摘を受け(実際はどうかわかりませんが、そのように理解されていました)、これからどうすればいいのか途方に暮れ、相談に来られました。
確かに、神経難病ですので、医学的にはそのように表現しても間違いではないかもしれません。
しかし、進行性の病気や神経難病であっても、より自立した生活、家族に負担をかけない生活、QOL(quality of life)を維持・向上する取り組み(心身面のリハビリや生活環境の工夫など)は、とても重要です。
それは、まさに「リハビリテーション」の考え方でもあります。
美辞麗句を並べたり、その場しのぎの希望を持たせるというのではなく、医学的な背景も十分理解した上で、患者さんとその家族に、前向きに生きていける力をもってもらうこと(エンパワーメント)は、とても大事です。
そのときの相談時間は、約90分間。ほとんど傾聴し、アドバイスしたのは10分もなかったと思います。帰られるときは、かなりスッキリされた表情でした。